ポアソン分布

ポアソン分布のパラメーター平均 λ だけからなる。Stan では poisson 関数を使ってモデルを構築することができる。ここで、λ = 20 であるポアソン分布から乱数を 100 個生成して、次に Stan で乱数が生成されたポアソン分布のパラメーターを推定する例を示す。

x <- rpois(n = 100, lambda = 20)

Stan を利用して x を生成したポアソン分布のパラメーター λ を求める。Stan コードの data ブロックには、これから入力する値である x を定義する。Stan 自身は、x に何個のデータが入っているのかを計算できないので、外部から与える必要がある。このため、x の他に、x の個数も data ブロックで定義する。次に、parameters ブロックには、これから推定したいポアソン分布のパラメーターである λ を定義する。最後に、model ブロックで、入力値変数とパラメーター変数を使ってポアソン分布モデルを構築する。

data {
    int n;
    int x[n];
}
parameters {
    real lambda;
}
model {
    x ~ poisson(lambda);
}

R では、次のようにして Stan コードを呼び出して実行する。推定結果を見ると、λ は 19.93 に推定され、実際に利用した 20 に近いことがわかる。

d <- list(x = x, n = length(x))
fit <- stan(file = 'poissondisp.stan', data = d)
fit
## Inference for Stan model: tmp.
## 4 chains, each with iter=2000; warmup=1000; thin=1;
## post-warmup draws per chain=1000, total post-warmup draws=4000.
## 
##           mean se_mean   sd    2.5%     25%     50%     75%   97.5% n_eff Rhat
## lambda   19.93    0.01 0.45   19.07   19.62   19.94   20.23   20.81  1544    1
## lp__   3973.00    0.01 0.67 3971.09 3972.81 3973.27 3973.45 3973.50  2115    1

各回 MCMC サンプリングの結果をプロットする場合は、stan_trace 関数を利用し、パラメーターの事後確率のヒストグラムをプロットする場合は stan_hist 関数を利用する。

stan_trace(fit)
stan_hist(fit)
stan のポアソン分布のパラメーター推定結果(サンプリング軌跡)
stan のポアソン分布のパラメーター推定結果(事後確率の分布)

MCMC サンプリング結果は、そのままパラメーターが取りうる値とみなすことができる。そのため、α/2 分位点から 1 - α/2 分位点までの区間は、そのパラメーターにおける (1 - α)% のベイズ信用区間とみなすことができる。このことを利用して、平均と標準偏差の 95% 信用区間を求めるには、次のように計算すればいい。

ms <- rstan::extract(fit)
quantile(ms$lambda, probs = c(0.025, 0.975))
##     2.5%    97.5%
## 19.06668 20.80618