genotypes-by-environments モデリング

GxE

植物の表現型 phenotypes は、遺伝子型 genotypes および環境 environments の影響を受けている。例えば、光合成活性を高める遺伝子型を持つことでバイオマスが多くなったり、穏やかで暖かい環境で育つことでバイオマスが多くなったりする。遺伝子型と環境の両方が表現型に影響を与えているが、その影響力は必ずしも相加的ではない。言い換えれば、遺伝子型と環境の交互作用(genotype x environment interactions; GEI)も考えられる。

遺伝子型と環境の交互作用を解析することで、遺伝子型とその環境適応性を明らかにすることができる。例えば、ある遺伝子型を持つと持たない農作物を低温環境から高温環境まで様々な温度条件で栽培し、それぞれの条件下において収量を調べる。そして、仮に、その収量を遺伝子型と環境でモデリングしたところ、遺伝子型と環境の交互作用が認められれば、その遺伝子が環境によって働き方が異なるといえる。つまり、その遺伝子は、局所的な環境に適応している遺伝子であると推測できる。逆に、遺伝子型と環境の交互作用が認められなければ、その遺伝子はどんな環境でも同じ働き方をするといえる。つまり、その遺伝子は、環境頑健性を持ち広域的な環境に適応している遺伝子であると推測できる。このように、観察される表現型(例えば収量)を利用して、遺伝子型と環境の交互作用を解析すれば、環境頑健性を持った遺伝子型をスクリーニングすることができ、農作物の品種改良などに非常に役立つと考えられる。

遺伝子型と環境を利用して表現型を説明するためのもっともシンプルな方法として、表現型を応答変数(従属変数)とし、遺伝子型や環境を説明変数(独立変数)としてモデルを構築することである。現在では、一般化線形モデルや一般化混合モデルを拡張させたモデルが一般に使われている。