遺伝子型と環境の交互作用

植物の表現型は、遺伝子型と環境の影響を受けやすい。表現型は、遺伝子型と環境それぞれから影響を受けるだけでなく、遺伝子型と環境の交互作用の影響をも受けている。観察される表現型を利用して、遺伝子型と環境の交互作用(GxE)を解析することで、その遺伝子型の環境に対する頑健性を推測できるようになる。例えば、生産量に関わる遺伝子型は、環境に頑健性を持つかどうかを推測できるようになる。つまり、その遺伝子は、特定の環境においてのみ生産量を高めるのか、それとも任意の環境において生産量を高めるのかといったことを推測できるようになる。

遺伝子型と環境の交互作用を解析する実験では、大規模な栽培試験を行う必要がある。例えば、以下のように、多数の遺伝子型(あるいは品種)を、複数の環境(あるいは地域)で栽培試験を行い、各条件における表現型(収量)をデータとして記録する。このような試験を、各条件において複数回反復を行い、さらに数年間通して行う必要がある。

遺伝子型と環境の交互作用(GxE)解析のための多環境試験

このような大規模多環境試験によって得られたデータを GxE 解析を行うと、遺伝子型と環境との関係を明らかにすることができる。例えば、複数の遺伝子型(品種)について、環境が変化しても、各遺伝子型の遺伝子型値(例えば収量)の変化率がほぼ同じであれば、遺伝子型と環境の間に交互作用がないといえる。これに対して、環境が変わると、各遺伝子型の遺伝子型量の変化率が異なれば(遺伝子型 1 が不変で遺伝子型 2 が 2 倍に増えたりなど)、遺伝子型と環境の間に交互作用があるといえる。

遺伝子型と環境の交互作用(GxE)解析結果のパターン

このような GxE 解析を行うには、まず、表現型を応答変数とし、遺伝子型と環境型を説明変数としてモデルを作り、次に分散分析により GxE の交互作用を検定する。分散分析により GxE が認められた場合、さらなる詳細な解析を行い、GxE のパターンを明らかにする。そして、GxE のパターンを数理モデル化するなどして、環境頑健性遺伝子のスクリーニングや品種改良に役立てる。