Bioconductor はマイクロアレイや次世代シーケンサー解析などの手法を提供している R のパッケージを管理している。BioPerl や BioPython などに似ている。以下に Bioconductor 向けのパッケージの作成手順を示す。
パッケージの作成
Bioconductor 向けのパッケージも基本的に R のパッケージであるから、まずは、R のパッケージを作成する(参照:R のパッケージの作り方)。パッケージを作成するにあたって、いくつかの決まりごとがあり、重要なものだけを以下にリストアップした。これ以外の規則はBioconductor Developerのサイトで参照できる。
コーディングスタイル
- 1 行は可能な限り 80 文字以内にする。コードファイルのみならず、NAMESPACE、DESCRIPTION、man、vignatte などのファイルも可能な限り 1 行 80 文字いないにする。
- カンマの後にスペースを一つ入れる。
- 演算子の前後にスペースを一つずつ入れる。
- 1 行分全部コメントである場合は
##
を先頭にする。 - その他
必要事項
- 一般の R のパッケージには必須ではないが、Bioconductor パッケージの場合は vignette は必須。
- 依存パッケージがある場合、Depends、Imports、Suggests、Enhances などを正確に利用して継承する。
- エラーチェック
R CMD check
の実行時間を 5 分以内に抑える(個人 PC 上で 5 分を超えても問題ない)。 - エラーチェック
R CMD check
の結果はエラーがゼロ件、警告がゼロ件である必要がある。 - クラスを定義した場合、
show
メソッドも合わせて定義する。 - メッセージを出力するときは
message
とwarning
を利用する。実行を中止させるときはstop
を利用する。
サブミット
パッケージを作成し、R CMD check
を実行して問題がないであれば、Bioconductor のスタッフに連絡する。連絡先は Bioconductor package submission のページの最下部にメールアドレスがある。そのアドレスに、Bioconductor へ投稿したいという内容でメールする。
何日かすると、Bioconductor tracker に登録してからパッケージをアップするように、と連絡が来る。メール本文中の URL にアクセスして、アカウントを作成し、指示された通りにパッケージをアップロードする。
Bioconductor 側の自動ビルドシステムによって、パッケージのエラーチェックが行われる。それから、おおよそ 2 週間ぐらいすると、パッケージのコード審査が始まる。さらに 1 週間ぐらいすると、メールでリバイスを受ける。
メールで指示された点を修正して、再度メール中で指示された方法でパッケージを再度アップロードする。2、3 日で再審査され、問題がなければアクセプトになる。
パッケージがアクセプトされた後に tracker システムはもう利用しない。
GitHub への追加
アクセプトされると、Bioconductor devel のレポジトリに追加される。Bioconductor のスタッフが追加作業を行う。追加後、そのことがメールで通知される。同時に、devel のレポジトリ上でパッケージを更新を行うためのアカウントとパスワードが発行される。これ以降、通知されたアカウントとパスワードを用いて git コマンドで、パッケージの管理を行う。
パッケージのリリース
Bioconductor の devel レポジトリに取り込まれると、あとは devel レポジトリのファイルを更新していけばよい。4 月と 10 月の中旬に devel レポジトリにあるパッケージは release レポジトリに移行されそのままリリース版になる。