定常性

時系列解析に用いられるほとんどのモデルは、データが定常性を持つことを仮定している。この定常性というのは、時間が変化しても、その時刻でデータを生成する確率分布が変化しないという性質である。定常性は、不変性の定義域によって、弱定常性(weak stationarity)と強定常性(strict stationarity)の 2 種類ある。

弱定常性

時間が変化しても、データを生成する確率過程の期待値と自己共分散が一定である性質を弱定常性という。すなわち、確率過程が任意 t および k に対して、

\[ E(y_{t}) = \mu \] \[ Cov(y_{t}, y_{t-k}) = E\left[ (y_{t}-\mu)(y_{t-k}-\mu) \right] \]

が成り立つとき、これを弱定常性という。

強定常性

任意の時点あるいは時間差においても、データを生成する確率過程が常に同一の同時分布を持つとき、これを強定常性という。すなわち、任意 t と k に対して、(yt, yt+1, ..., yt+k)T の同時分布が同じとき、これを強定常性という。